単純ヘルペス
単純ヘルペスウィルス（HSV)による感染が原因です。おもにセックスで感染します。
初感染では、ウィルスと接触後３〜７日で患部に水疱を形成、癒合して左右陰部の大きな潰瘍（皮膚の欠損）を形成するのが特徴的ですが、まったく自覚症状を伴わずに感染している場合もあります。発熱やリンパ腺の腫脹を伴うこともあります。潰瘍部分は激しい痛みを伴います。
診断は、既往症とともに特徴的な水疱と潰瘍の状態や、直接に水疱部からのウィルスの検出、および採血による血清抗体検査が参考になります。
ヘルペスウィルスは初感染後、神経細胞の中に潜んでいて、体の抵抗力が衰えたときにウィルスが活性化され、初感染時とほぼ同様の部位に再発してきます。持続するストレス・長時間直射日光にさらされた場合・抗がん剤の使用などが引き金になります。再発時の症状は初感染時に比べて軽い場合が多いように思いますが、著しく免疫力が衰えている 時、初感染並みに激しい痛みを起こすこともあります。残念ながら現在のところ神経細胞に潜んでいるヘルペスウィルスを除菌する方法はありません。
治療は抗ウィルス剤の使用で、これはあくまで表面的な感染の治療であって根本的なウィルスの除去ではありませんが、水疱や激しい疼痛を比較的早くなくすことができます。 抗ヘルペス薬のゾビラックスやバルトレックスの内服、および抗ヘルペス薬の塗り薬がおもに用いられています。重症例では点滴による薬剤投与が必要であったり、入院して 痛みの管理が必要な場合もあります。
ヘルペスの再発予防のためには、免疫力を衰えさせないような生活の注意が必要です。過労や過剰なストレスを避け、規則正しい生活をおくることが重要です。長時間の直射日光・過剰な飲酒・喫煙などもリスクになります。症状のあるときは軽症でもセックスを控え、通常はできればコンドームの使用を勧めています。
※頻回の再発に対してバルトレックスの長期投与が認められるようになりました。